タイマッサージ講座 - 最新エントリー

凝った筋肉やトリガーポイントを指で感じられたら、次はこれを解さなければならない。その解し方というのは実に様々だ。

注射、鍼灸、オイルを使って指を滑らしたり、木槌で叩いたり、火に炙った足で踏んだりするものまである。

道具を使わない手技療法としては、指、掌、足、膝などを使って圧を加えるのが一般的だが、指圧だけを取り出してみても、垂直に押すだけでなく、弾いたり、揺らしたり、回したりと色々だ。

こういう外面的な違いに目を奪われると本質的なところは見えない。本質的なことを考えるために、施術者ではなく、施術される側の立場になって、目をつぶって感じてみる。

すると、道具を使う手技は別として、ほとんどの手技療法は要するに、自分の筋肉に対して圧を与えることに過ぎないことに気がつく。その圧の与え方は色々だが、物理的に分解すると、どこをタッチするか、時間軸に対して圧力曲線がどう立ち上がり、そして抜けていくか、そしてその圧が時間軸に対してどういう周期(リズム)で施されるか、それが違うだけだ。そして、その違いにより、神経を伝わる電気の感覚、そして他の場所にまで拡散する響きの感覚が異なってくる。上手な人が行うとその感覚は快感であり、下手な人が行うとそれは不快感となる。

その違いは何か?

結論から言ってしまうと、その違いは、ノイズの有無である。タイマッサージは音楽に例えることができる。タイマッサージが芸術だと言われるのもその「音楽性」にある。施術する姿勢が美しいから芸術なのではない。

音楽で重要なことは、まずは音色である。一つ一つの音の純度が高く、美しくなければならない。バイオリンという楽器が非常にわかりやすいが、初心者が弾くとノイジーで、不安をかき立てられるような、聞くに堪えない音しか出ない。ところが、名人が弾くと、同じバイオリンでも奇跡のように美しい音が奏でられる。どこが違うかというと、技術と心が違う。長期間にわたる練習と澄み切った心が美しい音楽を奏でる。

タイマッサージの指圧も同じで、滑らかに圧を上げること、下げることが相手の体の神経に美しい響きを生み出す。

タイマッサージの本質をわかっていない人は、どこをどういう順番で押すかを覚えたらタイマッサージをマスターしたつもりになってしまうかもしれないが、それはバイオリンの初心者がキラキラ星を何とか間違えずに弾けるようになったという段階に過ぎない。指圧ポイントと手順を覚えることは、タイマッサージを学ぶ出発点に立ったということに過ぎないのだ

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マッサージとは筋肉を弛緩させることであることは前回述べた。

筋肉を弛緩させるためには、まず、筋肉の凝った部分を見つけなければならない。凝っていない部分をマッサージすることは無駄だし、気持ち良くもない。

タイマッサージの場合、「凝った部分を見つける」というプロセスを行わずに、習った手順どおりに施術をしている方も多数いらっしゃるだろう。それはそれで問題がない。なぜなら、タイマッサージというのはうまく設計されていて、ほとんどの人が凝っているであろう部分を押していくように構成されているからである。

センとか、経絡とか、ツボというのは、対象が神経であったり、血管であったり、あるいはよくわからないものであることもあるのだが、「凝りが出来やすい筋肉のポイント、あるいはライン」であることが多い。数千年の経験則で、個人差は少しあるが、どの人も同じようなところに凝りが出来ることを発見し、それを地図のように表現し、指圧ポイントの道しるべにしたものである。

だから、何も考えずに地図通りに押していても一定の効果は得られるし、それで十分なことも多いのだが、それでは名人とは言えない。名人というのは、そういうベーシックな知識の元、触診という技を使って、より正確に凝りの場所を見つけ、凝っているところを重点的に攻める。だから時間の無駄が少なく、押されているときは常にいいところを押していてとても気持ちがいい、そして、終わった後は驚くほど体が軽くなるということになる。与えられている時間が限られている以上、凝っているところを見つけられる人の方が効率的に体を解すことが出来ることは否めない。

この、凝っているところを指で感じる、ということが簡単なようで難しい。熟練者は、皮膚の上をスーと指を滑らせて、あるいは指を揺らすように当てて、「ここにトリガーポイントがある」とか「ここは硬い」とか言う。初心者がそこを触ってもよくわからない。わからないから聞くと、「繊細なタッチで触ればわかる」と言われる。しかし、「繊細なタッチ」とは何なのかよくわからないから、やはりわからない。強く押してみる。わからない。弱く押してみる。わからない。強すぎず弱すぎず、がいいらしい。

なぜそうなのか、を説明する。例えとして血圧計を持ち出す。最高血圧、最低血圧という数字があるのは誰でも知っているが、それがどういう値なのか知っているだろうか? 血圧を測るときに、腕に巻いた聴診器(マイク)に圧力を加えて締め付けていくが、その締め付けが緩すぎると脈動の音は聞こえない。圧が上がっていくと聞こえ出す。そこが最低血圧だ。圧を更に上げていくと脈拍が止まって聞こえなくなる。そこが最高血圧である。

実は、筋肉の触診も同じような原理である。下の図を見てほしい。皮膚の下に脂肪層があり、その下に筋肉がある。筋肉にトリガーポイントというコリが出来ていると、筋肉は一部分盛り上がって硬くなっている。押す強さ1と2の間の強さで指を滑らせても上滑りで何も感じない。2と3の間の強さで滑らせると、コリのところで指が引っかかるが、コリがない部分では引っかからない。3以上の強さだと、常に引っかかっている。



つまり、図で示す、2と3の間の強さで皮膚を押さなければ凝りは見つけられないのだ。これが、繊細なタッチの正体だ。理屈がわかれば実践することは可能だろう。指で押していって、脂肪層を突き抜けて筋肉を指先で感じたらそこが3である。そこから僅かに力を緩めて、皮膚の上で指を滑らせればトリガーポイントの所在がわかる。わかれば、そこを押して、痛みがあるかどうかを相手に聞いてみる。あれば正解だ。そういうことを繰り返しているうちに、相手に聞かなくてもここを押したら痛いだろうな、とわかるようになる。
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マッサージの目的とは何か?

「筋肉を弛緩させる」

これに尽きる。血行を良くするとか、リンパを流すとか、神経に刺激を与えるとか、細かく言えば色々な現象があるのだが、手技の90%以上は「筋肉を弛緩させる」ために行っていると考えていい。それはタイマッサージだけのことではなく、按摩、指圧、整体、オイルマッサージ、鍼灸等々、ほとんどの手技療法は「筋肉を弛緩させる」ためのテクニックである。

筋肉を弛緩させるということについてもう少し細かく言うと、現代人の大人の体というのは誰でも体に凝りがある。凝りというのは、伸縮性を失って硬くなった筋肉もそうだし、筋肉のある部分にできた硬い点(トリガーポイントという)もそうだ。手で触ってどんな感じかというと、筋肉全体が堅かったり、張りがあったり、あるいは、筋肉の表面にギターの弦のような張った部分(索状硬結という)があったり、筋肉の表面を指でなぞったときに1cmくらいの山のような盛り上がり(トリガーポイント)があったりする。こういう硬い部分が体の様々な場所に痛みを発生させたり、怪我や病気の元になるので、こういう凝りを取り除くというのがマッサージの目的である。

それは治療マッサージの話では? と思う方もいらっしゃるだろう。しかし、リラクゼーションマッサージであっても、そのシーケンスは、体中の凝りを効率よく除去するように構成されている。だから、無意識に凝りを解していることになる。だから気持ちがいい。子供にはそういう凝りがないから(最近の子供はそうでもないが)、マッサージを必要としないし、されても気持ちよくない。

では、凝りを取り除くなら、そういう結果が得られるなら、何でもいいのかというとそうでもない。取り除くプロセスが気持ちいいことが求められる。

施術中は気持ちよく、施術後は体が解れてすっきり快適、これが理想のマッサージだ
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タイマッサージのスクールはたくさんあり、評判の高い先生もたくさんいる。例えば、治療マッサージで名高い、ピシット先生、盲目のシンチャイ先生、外国人に人気のピシェット師、きさくなワンディ先生、ナーブタッチのレックチャイヤ先生、・・・

それぞれスタイルが異なる。同じタイマッサージといってもテクニックは様々だ。どこかのスクールで長期間学んだ人であっても、これらの先生を訪ねれば、今まで習ってきたことは否定され、修正されまくり、自信を失うことになる。

ここで、一つの疑問が起こる。ピシット先生(名人中の名人)がシンチャイ先生にタイマッサージを行ったら「それではだめだ、こうしなさい」と修正されるのだろうか?

これに対する答は恐らく二つある。私のスタイルを学びに来たならばそのやり方ではだめだ。しかし、あなたのスタイルで行うなら、そのやり方は完全であり、直すことはない。

スタイルが異なれば、テクニックは異なる。しかし、どんなスタイルにも共通する、これだけは押さえておかななければならない、そしてそれさえ捉えて置けばよい、という本質的なポイントがある。スタイルの異なる名人同士が対話する際には、スタイルの違いではなく、その共通項であるタイマッサージの核心部分をお互いに確認するだろう。

では、名人達は、何を極めているのか? スタイルに関係なく存在する本質的な技術とは何なのか? これがわかっていれば、スタイルの異なる人に自分の手技を否定されても動じることはない。それは、スタイルの違いだと理解できる。あるいは、本質的な部分の未熟さに気がつくこともある。多くの人は、新しいスタイルの名人に接すると、今まで習ってきたスタイルそのものが間違っていたかと、すべてを捨てて学び直す傾向にあるが、そんな必要はないのだ。

本質的に何を目指さなければいけないかという目標設定ができれば、練習もし甲斐がある。スクールではとにかく「練習しなさい」と言われるが、目標を具体的にイメージすることなく繰り返し練習しても全く上達しない。
目標なき練習とは、例えば、ネットもラインもない野原に向かってテニスのサーブの練習をするようなものである。あるいは、耳を塞いでピアノの練習をするようなものである。

これから何回かにわたって、「いいマッサージとは何か」を解明していきたいと思う。それを理解できれば、他校の人に接するときにも自分の「技術が未熟」なのか、「スタイルが異なるだけ」なのか判断することが出来、直すべきことと、直す必要がないことの区別が出来る。

そして、何ができるようになるように練習する必要があるのか、理解できるし、うまい下手の判断もできるようになるはずだ
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クルン - 腕回し

カテゴリ : 
タイマッサージの技術
執筆 : 
camel 2010-9-8 10:40


クリンのように腕を筋肉にセットして、そこから転がすのではなく、筋肉を腕に引っ掛けて回すように解す技のことをタイ語でクルンと言う。

「くるん」と回すからクルンなのか?

覚えやすくて助かる

クルンはクリンと異なり、それほど体重は乗せない。筋肉の上を擦るのではなく、筋肉を自分の腕に引っ掛けて大きく回すように動かす。
クルンは腕だけではなく、手で行うこともある。手のひらの小指の下の部分を空手チョップのように筋肉に当てて回す。

クルンはまだやっている人が少ないが、ピシット先生が好きなやり方の一つで、これからブレイクしそうな技だと思っている
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クリン - 腕転がし

カテゴリ : 
タイマッサージの技術
執筆 : 
camel 2010-9-7 10:27


タイマッサージは指圧と手掌圧がメインである。筋肉に対して真っ直ぐ押すのが特徴で、整体の技のように揺らすことは少ない。

ワットポーのタイマッサージを受けていると、その通りなのだが、他の場所ではそうでもなくなってきた。ジャップセンも広く行われるし、どこで覚えたのか「中国按摩」「整体」の技術を使うタイマッサージ師もいる。真っ直ぐ押すだけでなく筋肉を動かす技が一般的になっている。

個人的には真っ直ぐ押されるのが好きなのだが、動かされるのが好きな人もいるのだろう。セラピストとしても真っ直ぐ押すほうが指が疲れるので好んで動かしているような気もする。

そういうトレンドの中で、エルボーテクニックもよく使われるようになった。エルボーテクニックの一つが筋肉の上で腕を転がす技である。
これは、ただ転がせばいいというのではなく、いくつか注意点がある。まず、使う場所は前腕の尺骨(肘から小指の方に向かう腕の骨)の肘から10cmくらいの範囲。これを筋肉の伸縮方向に対して90°の角度で当てる。自分の肘の角度は90°くらいにして筋肉に対して尺骨が面でしっかり当たる様にセットして脇を締めて体重をかける。体重をかけてから筋繊維と平行にゴロンと転がす。うどんの生地を伸ばすような、歯磨きのチューブを絞るようなそんなイメージだ。
筋繊維が伸びる方向に行うというのが大事なところで、それによって筋繊維の破壊(揉み返しの原因になる)を防ぎ、筋肉を解して伸ばすことができる。

この技をタイ語でクリンという。「くりん」と転がすからクリンなのか?

次回はクルンという技について説明する。

「くるん」だけで何なのかわかってしまうような気もするが・・・
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最近のチェンマイや東京のタイマッサージコミュニティを席巻しているキーワードが、

「自分の体への負担が少ないやり方」

である。ワットポーやオールドメディソンホスピタルで習うような一般的なタイマッサージを長年続けていると必ず体を壊す。だからそんなやり方はすべて白紙に戻し、体の負担が少ないやり方、自分も一緒に健康になるやり方を身に付けなさい。

そういう話である。実際に行う手技は、足で踏んだり、相手の体の上に座ったりすることが多い。そして自分の姿勢、そして脱力方法をトレーニングする。

いい話だ。人気が出るのも当然だろう。しかし、ピシット先生の口から「自分の体に楽」というキーワードを聞いたことがない。それどころか、「そのやり方は楽にやっているように(怠けているように)見えるからだめだ」と、むしろ不快感を持っているかのようだ。

ピシット先生の頭の中では、相手に対してどれだけ効果を上げるかが第一優先課題だ。施術の際に自分の体のことなど考えない。自分の体調管理は毎朝のジョギング、ルーシーダットンで完璧だ。酒も煙草もしないし、肉も食べない。そして、ピシット先生は長年タイマッサージを続けているにもかかわらず、76歳にして現役であり、健康そのものだ。

要するにプロ意識である。例えばスポーツ選手や、会社員が、自分が楽に行えるということを第一優先に仕事をするだろうか。通常そんなことは考えない。試合のとき、商談のとき、最高の結果を出すことだけを考える。そこでは楽をしていると見えるだけでマイナスだ。「自分の体が硬くてうまくできない」から「楽なやり方で行う」ではなく「できるように自分の体を柔らかくする」のがプロだ。

自分の体調管理は仕事とは別の話である。自分の時間にしっかりトレーニングをして、規則正しい生活を行えばいい。ピシット先生のタイマッサージにもそういう考え方が貫かれている。

それは、王宮系のマッサージの考え方でもある。王様にタイマッサージを行うのに楽をするなどもっての他、足を使うのも失礼。指を壊すから踏むのではなく、壊さないように指を、そして体を鍛える。高いお金を払ってタイマッサージを受けに来る顧客に対しても同様の態度で接するのが当然だという仕事への誇りがある。

そもそも、通常のタイマッサージをすると体を壊すというのは幻想である。タイマッサージだから体を壊すのではない。悪い姿勢、そしてトレーニング不足だから体を壊すのだ。一人のタイマッサージ師が大きなスクールを解雇され、一人でスクールを始めるにあたって大スクールや病院、大学の権威に負けない、それより優れていることを示す何かが必要だっただろう。私は、「自分の体に楽なタイマッサージ」というのは、そういう背景から生まれたトレンドだと理解している。

顧客に接するときに考えるべきことは、タイマッサージの効果だけでなく、(不快感を与えないための)礼儀、(真剣に取り組んでいることを示す)見栄えという要素もある。そういうことをクリアした上で自分の体に負担が少ないやり方を行うならそれは正しいことだが、第一優先にすることではないと私も思う

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イエップ - 足踏みの技

カテゴリ : 
タイマッサージの技術
執筆 : 
camel 2010-8-9 10:56
イエップという押し方がある。足裏で相手の筋肉を踏む方法だ。
ピシット先生はもちろん多彩なイエップの方法を知っていて、相手の体の状態に応じて何を使うか教えてくれる。単に踏めばいいという訳ではなく、イエップの効果を最大化するには、相手の体の角度、自分のポジショニング、相手の体のサポートの仕方等々、細かいところを正確に行わなければならない。自分の体のバランスを取りながら正確に相手の筋肉に足を当てていくのは簡単そうで簡単ではない。しっかり習ってからでないと行うべきではない。

このイエップという方法はフォークマッサージ(田舎のマッサージ)の手法の一つで、王宮系では全く行われない。自分の全体重をしっかり預けられるので、ハムストリングなど大きな筋肉を強く、楽に押すには優れた方法なのだが、「踏む」という行為は相手に対して失礼だからである。

チェンマイの有名な先生のところでは腕や肩まで足で踏むことを教えているが、ピシット先生は言う。

「イエップを行うのは下半身に限られる。上半身を踏まれるのは不快だ。本来的には指、手を使うのがもっとも丁寧だが、強く押すのにどうしても必要な場合、下半身には使用しても良い」

イエップは、田舎のレイジーマッサージ(怠け者のやり方)の一つでもある。

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指の形 - 甘手と苦手

カテゴリ : 
タイマッサージの技術
執筆 : 
camel 2010-6-22 16:34
当スクールの受講生は実に様々で、マッサージのプロの方も多い。特に多いのが、アロマオイルマッサージサロンのセラピスト、ヨガインストラクターの先生、そして鍼灸按摩マッサージの資格保有者。

そういう方と一緒にタイマッサージの勉強をしているとこちらが教えてもらうことも多い。先日、鍼灸按摩マッサージの先生に教わったことが「甘手(あまて)と苦手(にがて)」。指圧する指の形は人によりこのどちらかだと言う。

甘手とは、指圧するときに親指がほぼ90度に反り返り、指の腹で指圧できる指。苦手とは、指圧するときに親指の第一関節がほとんど反らないために、指先が突き刺さるように入る指のことである。男性に甘手が多く、女性に苦手が多い。

指圧は基本的に、親指の第二関節を真っ直ぐにして、第二関節から第一関節までの指の骨を皮膚に対して垂直にしてして体重をかけなければならない。そうしないと、第二関節に異常な負担がかかり、すぐに指を痛めてしまうからだ。

だから、苦手の人は、指の腹で押そうとすると関節に負荷がかかってしまうため、指先で押さざるを得ない。結果として皮膚に接する指面の表面積が小さくなり、単位面積当たりの圧が強い、スティックで押したような圧となる。

甘手の人はその逆で、指の腹の大きな面積で押すためにソフトでねっとりした圧となる。

同じように指圧をしているはずなのに、受けた感じが施術者によって大きく異なる理由はこういうところにある。体重や技術だけでなく、指の大きさ、指の形がその人の指圧の個性を決めるのだ。

一般的には甘手の方が好まれるとのことだが、もちろん、苦手の鋭い指圧を好む人もいる。苦手であることは欠点ではなく、個性だと理解するのが正解だろう
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腰を入れるということ

カテゴリ : 
タイマッサージの技術
執筆 : 
camel 2010-5-4 6:10


タイマッサージは姿勢が大切だ。

常に背筋を伸ばし、上半身の力が抜けていなければならない。それにはいくつかの意味がある。施術者の体を守るという観点からは、腰に負担をかけない、肩凝りを防ぐ、という意味がある。猫背で行うと釣竿で魚を持ち上げるように、背筋で頭蓋骨の重さを支えなけばならず長時間にわたって腰に異常な負担がかかりあっという間に腰痛になる。また、猫背だと体重がうまく乗らないため腕力で圧を高めようとして肩に負担がかかり肩凝りになる。

腕力で押すことは相手に対しても良くない。腕や肩の筋肉の緊張(細かい振動)が相手の体に伝わるし、圧力の上昇曲線が不連続になってスムーズな圧にならない。そして何より、圧力が絶対的に不足するのが問題となる。

自分の体に負担をかけ、筋力を最大限に使っているのになぜ指圧が足りなくなってしまうのか?

それはスポーツで考えれば理解できる。野球、ゴルフやテニスをしたことがあればわかるだろう。腕力で打っても球は飛ばない。腰を入れて上半身の力を抜いてスイングしたら、何の力も入れていないのに球は気持ちよく飛んでいく。正しいフォームで行えば力は要らない。ゴルフ初心者は肩の力を抜くことから教えられるはずだ。
指圧ということで考えれば、ボクシングや相撲の方が近いかもしれない。どちらも腰から前にどんと出していかなければいけない。腰が引けた、へっぴり腰では猫パンチになってしまう。指圧も全く同じで、猫背で腰が引けていると圧が入らない。

「背筋を伸ばし、肩の力を抜き、腕を真っ直ぐにして、丹田(腰)を寄せていきなさい、そうすれば、あなたのエネルギーが腹から肩を伝って自然に落ちていく」というタイマッサージの教えは、神秘でも何でもなく、スポーツの基本と同じことなのだ。

そう考えると、タイマッサージもスポーツである。体の使い方がうまい人は自分は疲れないのに綺麗な圧を入れることができる。スポーツに取り組むのと同じように、適切なトレーニングを行い、正しいフォームを練習することが大切だ。スポーツなら負けるという形で自分の未熟さを自覚できるが、タイマッサージはほとんどの場合、お客さんが「とても気持ちよかった」と言ってくれるため、施術者はできているつもりになってしまい易い。しかし、ゴルフのスイングを極めたと思っているゴルファーは存在しないのと同様、タイマッサージの指圧も非常に奥が深いものであることは知っておいた方がいい
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